位置測位

使っていない社用車を見分ける「車両稼働率」の計算方法とは?

  • 会社の社用車がどの程度使われているのか知りたい…
  • できれば全く使用していない車両は維持費もかかるので売りたい…
  • いつも駐車場に置いてある車があるが、本当に使われているのか不明…
  • 事業主から「社用車に係るコスト削減をするように」と言われているか、どういう基準で考えていいか分からない

このような悩みを抱えている会社の車両管理者は、各社用車の稼働率を求めることによって、社用車が実際にどの程度利用されているかを知ることができます。

車両稼働率の求め方と目的について紹介します。

車両稼働率の求め方

車両稼働率は、

稼働率(%)=実働時間÷特定期間の総時間×100

で求めることができます。車両に限らず、この「稼働率」は工場などの生産現場やIT業界でも使われることの多い指標です。

車両の稼働率を求める場合の例を挙げてみます。例えば、営業車両として使われている社用車Aの稼働率を求めたいとします。

「特定期間の総時間」を、会社の1日の営業時間(8時間と仮定)とします。ある日に社用車を30分利用した場合、その日の車両稼働率は

0.5h(社用車Aの実働時間)÷8h(営業時間/日)×100 = 6.25%(社用車Aの1日の車両稼働率)

という計算ができます。とはいえ、たった1日で稼働率を判断することはできないので、数週間、数カ月の平均として割り出す必要があります。

そのためには、毎日社用車が何秒、何分、何時間利用されているかを記録しておき、目標にしていた期間が経過した後に合計して車両稼働率を割り出す必要があります。

例えば、1か月間の社用車Aの合計実働時間が8hだと分かった場合、

8h(社用車Aの1か月間の合計実働時間)÷160h(土日含めず1か月の営業時間:8h×20日)×100=5%(社用車Aの1カ月間の車両稼働率)

と求めることができます。

車両稼働率の目安は?

車両稼働率の目安は、その会社の業種や方針によって変わります。例えば、配送業界は「運転してなんぼ」ですから車庫に車が何台も隠れている状態は勿体ないですよね。

配送業界であれば、各車両の稼働率は70%以上は欲しいところです。

一般的な営業車両の場合は、必ずしも「車を運転する時間が多ければ多いほど良い」というわけではないので、主にトップ層が車両に係るコストを数値化&シミュレーションし、各車両の目標数値を定めると良いでしょう。

とはいえ、車両稼働率が0~3%程度ではほとんど使用されていないので、適切な車両稼働率の目標値を定めることが大切です。

車両稼働率を求める目的

車両稼働率を算出することで、

  1. 使用率が低く、年間維持費ばかりかかっている車を特定できる
  2. 使用率が高い車を特定し、その車を頻繁に利用している人の行動分析ができる
  3. 全体的に車の稼働率が低ければ、カーシェアリングの導入検討材料になる

上記のようなメリットがあります。

使用率が低く、年間維持費ばかりかかっている車を特定できる

社用車1台に係る年間維持費をご存知ですか。

車種や燃費にもよりますが、車両1台あたりの年間維持費は30~40万円程度かかります。

営業車両1台に係る費用項目には以下が挙げられます。

  • 自動車税
  • 車検費用
  • 自賠責保険料
  • 点検費用
  • 事務手数料
  • 任意の自動車保険
  • 燃料費
  • 駐車場代

社用車を効率良く活用できても、できなくても税金や保険料などの固定費が必ずかかります。車両稼働率の低い車が分かれば、早々に車を手放し、年間にかかる固定費を削減することが可能です。

例え1台あたりの固定費は数十万円でも、複数台、数年間のスパンで考えると将来的には数百万~数千万円のコストカットに繋がります。

【参考】

プロが選ぶ社用車・営業車のおすすめ車種7選!事故・使用・経費の疑問も解説 | 格安ウィークリー・マンスリー業務レンタカーのブログ (renntacar.net)

車両稼働率の高い車を特定できる

車両稼働率を求めることで、「使用されていない車」だけでなく「よく使用されている車」を知ることができます。

これにより、誰がどんな用途で使用しているのかが明確になり、社員の行動分析に活用できます。

例えば、その車が営業車両なら使用者となる営業マンにヒアリングを行い、車両稼働率が高い原因を突き止めることができるかもしれません。

営業の目的はお客さんとの商談から契約を取ることですが、車両稼働率が高いということは商談時間そのものよりも車の中に滞在している時間が長いとも言えます。

それだけ商談時間が短縮されているとも言えるので、営業ルートの見直しなどの改善が必要かもしれません。

しかし、この実態が分からなければ、その社員は反省することもなく取引先への長い道のりを運転し続けることになります。

かかる費用は車両の燃料費だけではなく、運転している営業マンの人件費にも繋がってきます。

カーシェアリング活用の検討材料になる

全体的な社用車の稼働率が低いことが判明した場合、自社で社用車を保有するよりもコスト削減を見込めるカーシェアリングの活用も検討できます。

自社で社用車を購入し、保有する場合は保険料や駐車場代等の固定費がかかります。しかし、カーシェアリングの場合は社員が使いたい時に使用します。

車両稼働率が分かれば車をそれほど利用しない社員にはカーシェアリングを利用してもらい、稼働率が低く、固定費ばかりかかる社用車は手放すことができます。

車両稼働率は〇%という数字で表せることが良い点です。例えば、社員に「君は車を使っていないから、使う時はカーシェアリングを使いなさい」と伝えたとしましょう。

しかし、その社員からすれば「自分はよく車を使っているほうだ」と思っているかもしれません。つまり、人によって利用頻度に対する尺度は異なっています。

だからこそ、車両稼働率を算出し、「他の社員は10%利用しているが、君は3%程度だ。だからカーシェアリングを使って欲しい」という客観的なデータを示すことができれば社員を納得させることができます。

どのように実働時間を知るのか?

車両稼働率の計算方法は難しくありませんが、問題となるのが「車両の実働時間をどうやって知るのか?」ということです。

車両の削減目標を立てるにしろ、カーシェアリングを検討するにしろ、自社の社用車の利用実態を調査する必要があります。

利用実態を調査する方法として、トラック等の管理をする配送業界では、車両の運転記録として「デジタルタコグラフ」という機器を車両に搭載し、運送時間・走行距離・走行速度などの記録を取ることができます。

デジタルタコグラフは、

  1. メモリーカードを挿入&起動
  2. 作業切り替え時に作業種別(「休憩」「荷積み」「待機」など)のボタンを押す
  3. 終業時にメモリーカードを管理者に提出する

という簡単な方法で行うことが可能です。

【参考】

デジタコとは?義務化が進むデジタコの使い方やアナタコとの違いを解説 | 中古トラック販売のステアリンク (steerlink.co.jp)

しかし、デメリットとなるのが価格です。デジタルタコグラフの価格相場は平均10~20万円近くかかってしまうため、車両稼働率を測るためだけに導入するとなるとかえってコストが高くついてしまう可能性があります。

一般的な営業車両を数台~数十台保有している会社でデジタルタコグラフを導入するのはコスト的にも現実的ではありません。 そうなると、社用車を利用する社員に「運転日報」等で

  • 出発時刻
  • 到着時刻
  • 行先
  • 行先への目的
  • 始業時の走行距離
  • 終業時の走行距離
  • 始業時と終業時の走行距離を引いた1日の走行距離
  • 合計運転時間

などを毎日記入してもらう必要があります。しかし、これは社員にとっても手間ですし、数人~数百人いる社員の運転日報を管理するのは車両管理者にとっても大きな負担になります。

実働時間の把握には車両管理システムの導入を

社員の日々の運転時間を把握し、手間をかけず効率よく車両稼働率を算出するためには、車両管理システムの導入がオススメです。

車両管理システムには、

  • アプリ型
  • ドライブレコーダー型
  • GPS車載端末型
  • OBD-Ⅱポート型
  • デジタルタコグラフ搭載型

など数種類ありますが、導入までに時間をかけず、かつ安価で始めたいのであれば、GPS車載端末型をオススメします。

フォルテのGPS車載端末は車のシガーソケットやアクセサリーボックスに挿すだけで利用できます。

車両の位置情報は、車両管理者のPC画面上からリアルタイムにモニタリングすることができ、過去7日間の運転時間を記録することが可能です。

そのため、お使いのパソコンから各社用車の運転時間を把握することができるようになります。わざわざ社員に運転日報を記入させ、毎日大量の運転日報を管理する必要もありません。

まとめ

車両稼働率を算出し、利用率の高い/低い車両を見分けるためには、社用車の利用実態を把握することが最も重要です。

しかし、利用実態の調査には時間と労力がかかり、会社で働いている以上、人件費というコストもかかっていることになります。

車両管理システムを導入することで、より効率的に社用車の利用実態を把握することができます。これにより、運転日報の作成などの無駄な作業を廃止し、より重要な業務に従事してもらうことができるようになります。

会社の車両管理は、手間と時間のかかる紙ベースの管理体制をやめ、車両管理システムをうまく活用した業務改善を提案することが得策です。

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