防災

避難所運営に必要な感染対策とは?場面別に詳しく解説!

災害発生時は速やかに避難所を設置し、いち早く避難者の受け入れを行うことで住民一人一人の命を救うことができます。

また、現代において避難所の速やかな設置・受け入れと同様に大切なのが感染対策です。避難所の感染対策を行うことで、避難所内のクラスター発生を未然に防止することができます。

コロナ禍で注目される避難所の感染対策

以下のグラフはNPO法人環境防災総合政策研究機構によって、これまで水害や地震で避難所・親戚知人宅や自宅の2階などの安全な所へ避難された経験のある5,261人を対象に行われたアンケート調査の結果です。

「あなたは避難所において新型コロナウイルスへの感染防止対策が行われていれば、避難しますか」という質問に対し、約63.4%の方が対応の内容によって判断すると回答しています。

「避難しない」と回答された方も11.7%います。

出典:環境防災総合政策研究機構「災害時の避難における新型コロナ感染症対策等に関する国民の意識や行動調査」より自社作成

この調査から避難所の感染対策の在り方によって、住民の避難所運営に対する信頼性が変わると言えます。

とはいえ、万全な感染対策を行うためには人手も資源も必要になるため、緊急時に完璧な感染対策を行うことは困難です。それでも必要最低減の感染対策を行うことは、クラスターの発生や避難者の健康被害の拡大を抑えることに繋がります。

避難所受付、避難所内で必要になる最低限の感染対策をご紹介します。

 

避難所で感染対策が必要になる具体的な場所

避難所における感染対策の重要性が問われる場面は2つあります。

「避難所の受付」「避難所内の生活中」です。

避難所受付に必要な感染対策

 

※自治体避難所運営マニュアルを参考に自社作成

避難所の受付では主に

  1. 検温
  2. 事前受付
  3. 総合受付

の手順を踏むことで、感染者と非感染者の振り分けを行います。

1.検温

避難者の体表温度を計測し、避難者自身が感染していないかを調べます。

ここで発熱や体調不良が見られた場合、体表温度が正常な避難者とは別のスペース(患者用避難スペース)に移動させます。

検温時には、一度にたくさんの避難者が訪れても対応できるよう「検温のスピード」も重要になります。

検温に時間がかかり避難者の行列が出来ることで密になり、感染リスクが高まる恐れがあるからです。

検温と言っても方法は様々ですが、スピーディーに検温を行うためには非接触の体温計を用いることが必須となります。

さらに災害時には「スタッフの人手不足」が予想されるため、非接触体温計でもハンディタイプの製品ではなく、スタンドタイプのAI顔認識検温器を用いた方がより速く、正確な検温を行うことができるでしょう。

 

2.事前受付

検温だけでなく、避難者本人の健康状態を自己申告させることで感染リスクを抑えることが可能です。

自治体の避難所運営マニュアルに見られるのは、『健康状態チェックカード』と呼ばれるシートです。

「息苦しさがあるか」や「味や匂いを感じられるか」、「ワクチン接種は受けているか」といった項目を、はい・いいえで記入し、避難所運営スタッフがそれを確認することで避難スペースへの振り分けを行います。

ここで感染の症状が見られる避難者は、別の避難スペースに誘導することで避難所内のクラスター発生を未然に防ぐことができるでしょう。

 

3.総合受付

検温、事前受付の工程が終わったら、避難者は総合受付で「避難者カード」を記入する必要があります。

この避難者カードに記入すべき項目は自治体によって変わりますが、基本的には氏名・生年月日・住所・電話番号・緊急連絡先などの項目が挙げられます。

避難者カードに記入することで、避難所の運営スタッフは避難者名簿を作成することができます。避難者名簿は、必要な支援物資の数や安否確認等に使用されるため、運営スタッフ・災害対策本部からすると重要な情報になります。

しかし、記入すべき項目が多岐にわたるため、避難者が記入し終えるまでに時間がかかってしまい、受付が滞留してしまう可能性もあります。ある自治体では、避難所の受付に1人3分当たりの時間が掛かると予測しています。

そのため、紙ベースの管理方法をやめて、QRコードを用いてスマホやタブレットで情報を入力させる「避難所のデジタル化」を進める自治体も見られています。

 

避難所生活中に必要な感染対策

避難者の受け入れが落ち着いたら、次は避難所内での感染対策が必要になります。

避難者からすると見ず知らずの他人と共同生活をすることになるため、ストレスが蓄積されるはずです。

そのため、避難者のストレスがなるべく溜まらないよう、避難者同士のプライバシーを守りながら徹底した感染対策を行うことが重要になります。

感染対策が特に必要な場面は、

  • 避難者同士のスペース
  • トイレや洗面所など避難者全員が使う場所
  • 避難所生活の長期化が予想される場合は、避難者の日々の健康管理

などが挙げられます。

避難者同士のスペース

避難者同士のスペースでは、パーテーションや段ボール、簡易テント等を使用して避難者同士の仕切りを確保することが重要です。

これにより、避難者同士の距離が保たれる他、プライバシーの保護にも繋がります。しかし、避難者の数が想定より多い、使用できる資源に限りがあるなどの場合には、これらの感染対策ができない場合も考えられます。

そのような場合でも、マスクの着用や手洗いなど、避難者自身ができる対策を徹底させることで必要最低限の感染対策になります。 とはいえ、そのような事態にならないよう、事業者と協定によって災害時に資源を調達できる体制を整備しておくことも重要です。

 

トイレや洗面所

感染対策が必要な場所としてトイレや洗面所などの避難者全員が使用する可能性のある場所が挙げられます。

感染対策以前にまずは避難所内でトイレを確保することが前提です。阪神淡路大震災では、仮設トイレの供給が遅れた、断水のために大量のトイレ用水を確保することが必要だったという事例もあります。

トイレがある前提で考えると、避難者にとって使いやすく清潔なトイレは必要不可欠です。せっかくトイレがあっても使いにくく不清潔な場合、避難者自身がトイレに行かずに我慢をするという選択を取る可能性もあります。

それが原因で、与えられた食料や水分を摂らない避難者がいることも予想されます。そうなると避難者の健康問題にかかわるため、避難者が利用しやすいよう、トイレを使いやすく清潔に保っておく必要があります。

具体的には、

  • トイレ清掃や消毒を徹底する
  • トイレ使用後の手洗いを徹底し、水がない場合でも手指の消毒液等を配備する
  • トイレ内外で履き物を分ける

などの対策をすることが挙げられます。

 

避難者の健康管理

 

ライフラインの復旧が遅れる等の原因で、避難所生活の長期化が予想される場合には避難者の健康管理が重要になります。

避難所生活が長期化すれば、避難者のストレスが蓄積されることや暑い・寒い・乾燥するなどの気候によって健康を害する可能性も出てきます。

そのため、避難者の日々の健康管理が大切になります。例えば、受付時には健康だった避難者も避難所生活を通して体調を崩してしまい、感染してしまうことも考えられます。 感染の初期症状をいち早く発見し、患者を別の部屋に誘導することで他の避難者への被害を最小限に留めることができます。

具体的な健康管理方法として…

  • 毎日決まった時間に検温や健康チェックなどを行う等のルールを設ける
  • 体調がすぐれない場合に相談する人や場所を設け、申告しやすい環境を作る
  • 換気やエコノミークラス症候群にならないよう軽い運動を促す

などの体制を整えることが必須でしょう。

 

[Q] エコノミークラス症候群とは何ですか?

[A]長時間足を動かさず同じ姿勢でいると静脈に血のかたまりができ、このかたまりが肺の血管を閉塞してしまう症状です。

引用:JAF(日本自動車連盟)「エコノミークラス症候群とは何ですか?」

 

まとめ

避難所の感染対策は、避難所運営の中で行うべき対策の1つに過ぎません。実際の現場では、感染対策に目を向けられるほどの余裕すらない可能性もあります。

そのため、自治体の防災担当者は実現性や費用、優先順位を見極めたうえで効果的な感染対策を実施することが求められています。

最後に

株式会社フォルテでは、避難所運営を支援する「避難所運営支援システム」を提案しています。

「避難所運営支援システム」は検温と同時に避難者にQRコード付きの整理券を発券し、避難者自身がタブレットなどを用いて避難者情報を入力することで、避難者の受付をスムーズに実施するシステムです。

 避難所受付の簡略化、避難者の体調管理、救援物資の配給などを避難所のデジタル化によってサポートし、避難所運営の業務を効率化することで円滑な運営を実現することが可能です。

 

 

 

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